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　■ご挨拶

死を恐れぬ人であっても病気を恐れないことはありません。

それが体に苦痛を与えるだけではなく、尊厳や友情といった人の心にかかわる部分をも破壊してしまうことがあるからです。

「多病故人疎」――病気が多くなると、古い友人とも疎遠になる。唐時代の詩人、孟浩然が病気の淋しさを看破した詩です。

友情とは、友に何かをすることによって生まれる情けです。

病気で気力を失うと、情けが希薄になってしまいます。

友人に限らず家族であっても、情けを与えられないと、心が痛むものです。

病人を抱えた家族が、患者を療養施設に預けることがあります。

患者にとっては家族から看病を受ける方が、本来は気が楽で幸せなのかもしれません。

その一方で、家族に負担を与えてしまう状況に心を痛めてしまいます。

身内のいない施設に1人で過ごす寂しさと、家族から施しばかり受けることへのいたまれなさ。

そのどちらかを選ばなくてはならない時、「自分は施設にいる寂しさの方を取る」という人は、結構いるのではないでしょうか。

生老病死は四季の移ろい。

死は生の終の住みかだとするのなら死なない方法はないとしても、死ぬまで年寄りにならない方法はありそうです。

病そのものを、人生の中の一つの流れとして過ごせるのなら、“『病』もまた何の煩いもないものである”と思えるはずではありますが、 そこまで悟りを得ることは凡夫にはかないません。

広く“老いず、病まず”を提供しようと悪戦苦闘しています。

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